ラスト・ラン 〜僕らの光〜
6
グラウンドを囲む新緑の芽が顔を出し、季節は夏へと移り変わろうとしていた。
いつものように何周か走り回った後、ベンチに座っている人影が見えた。
顔を見るのは、二日ぶりになる。
あの公園で青柳と別れた日以来だ。
「どこ行ってたんだよ」
斗真はペットボトルのミネラルウォーターを口に含みながら、隣に腰掛けた。
「青柳のところか?」
小さく頷いたのを横目に、やっぱりなと背伸びをしながらストレッチを始める。
「彼女、様子はどうだった?」
「…前と変わんねえな」
「そうか…」
それからストレッチを終えて、いつまでも項垂れて動かないその姿に斗真は肩で吐息をついた。「なあ、前田」