ラスト・ラン 〜僕らの光〜

分かっていた。

本当はどこの誰よりも青柳のことを気にかけていて、一番辛い思いをしているのは前田だということを。


「凛子さ、あのお守り握りしめてずっと泣いてるんだよ。聞こえるんだ、俺に会いたいって。でもそばにいるのに凛子は気付かない。すげえもどかしいよな。俺ここにいるよって言ってるのに伝わらない。笑わしてやることもできない。ただ見守ることしかできないんだ」


前田は「何で三浦には俺が視えるんだろうな」といった。







──三浦。





、、
あの日、前田と再会した夜。



俺は信じられない光景を目の当たりにした。

外灯に照らされた前田の身体がまるでスケルトンのように透き通っていたからだ。


──どうやら俺、死んだみたいだ。


、、
再会して第一声がそれで、他人事のように前田が笑うものだから斗真は拍子抜けした。

もはや、恐怖というよりも不思議な感覚に近かった。
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