ラスト・ラン 〜僕らの光〜

「ここに、いるの?」

「えっ、…あ、うん」

「そう」


先日は疑って聞かなかったのに。

一体、どういう心境の変化なのだろう。


「でもどうして、…何で信じてくれる気になった?」


彼女はしばらく考えた後、少し首を傾げていった。


「自分でもよく分からないんだよね。でもあれからずっと考えてて…やっぱり私には三浦君が嘘をつくような人とはどうしても思えないし。それにお守りのことだって私と隼平しか知らないはずなのに、あなたは知ってた。もし三浦君が隼平のことを本当に視えているのなら、ちゃんとつじつまが合うなと思って…」


甘い、香りが鼻先を過ぎる。

ぎゅっと握りしめる彼女の手元で、こんぺいとうが重なり合う音が瓶の中で響いていた。

「三浦君」彼女は続けた。「ひどいこと言ってごめんね」


──三浦君がそんなに人の気持ちを考えられないような人だとは思わなかった。


別れ際にいったあの言葉のことを謝っているのだろう。

もう気にしていなかった斗真は首を交互に振った。
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