ラスト・ラン 〜僕らの光〜
やがて公園に辿り着くと、どちらからともなくジャングルジムの上に登った。

柔らかな日差しが雲間からもれている。

じゃあ、と斗真が話を切り出した。


「俺が前田の言葉をそのまま伝えるから。俺を前田と繋ぐ携帯電話だと思って」

「うん。分かった」

「いくよ」

「うん」

「"よお、凛子。元気か?"」

「…うん」

「"ローリング・ストーンズ。よく覚えてたな"」

「あのTシャツって隼平のだったの?」

「"平日に制服で遊んでたら補導されちまうだろ。凛子が準備している間、俺の部屋から慌てて引っ張り出してきたんだよ。あの時は冷や冷やもんだった"」

「だからあの時三浦君、目も合わせてくれなかったんだ」


ふふっ、と彼女は笑った。
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