好きだから。
通り道
右の音が聞こえなくなってから一年。
「行ってきまーす」
「いってらっしゃい」
あたしは左だけの世界になれていた。
少し私生活に支障があるけれど
それも一年たてばなれる。
「ラララ…」
歌いながらあたしはいつもの道で
高校へと向かう。
今日は二学期の最初の日。
夏休み焼けた子たちが
あちらこちらにいる。
あたしもそのうちの一人だ。