好きだから。
通り道



右の音が聞こえなくなってから一年。


「行ってきまーす」

「いってらっしゃい」


あたしは左だけの世界になれていた。


少し私生活に支障があるけれど
それも一年たてばなれる。



「ラララ…」

歌いながらあたしはいつもの道で
高校へと向かう。


今日は二学期の最初の日。



夏休み焼けた子たちが
あちらこちらにいる。




あたしもそのうちの一人だ。
< 6 / 9 >

この作品をシェア

pagetop