鏡の中の少女
「一時間位で、戻るよ…ゆっくりで良いからね」
「はーい、大丈夫、気をつけて行って下さいね!」


次の日…いつもの通りに店に行くと、《臨時休業》の文字に何かあったのかと慌てて店内に入った。マスターは、カフェの二階に住んでいる…昨日のうちに何かあったのではと慌てたのだ。けれどマスターは元気そうで…一先ずはホッとし事情を聞くと、どうやら今現在地方暮らしをしている息子さん(結婚していたんだ、まして息子まで…別の意味で驚いたが←凄く失礼たけど) が離婚したらしい…それで息子さんが子供と二人で急遽戻っ来る事になったようだ。

だから昨日から、二人が住めるるスペースを準備していたらしい…連絡してくれたら手伝ったと言うと『蛍ちゃんは、休みくらい好きなことしなきゃ駄目だよ』と笑い昨日藤堂さんが、訪ねてきた事も聞いた…初耳だったがマスターと藤堂さんの父親は、同級生で彼の事をはよく知る関係(迷い込んで来たのは本当らしい…その上、妹さんの事も全て知っていたようだった)で…ただ口出しする必要は今の所なかったからと話してくれたのだ。私は、簡単にだが藤堂さんの事を話しながら片付けの手伝いをするとマスターは…私の感情の動きに時々笑って聞いてくれていた。

そして午後…二階掃除を終え店内の掃除をする私が留守番する事になりマスターは迎えに行ったのだ。………という事は、藤堂さんは昨日のうちに事情を知っていたからこそ夜遅くまで私を誘ったのだと一人片付けをしながら複雑な気持ちになっていた…。
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