鏡の中の少女
あれ以降…何度も、ドアを叩く音を聞いてる。
翼なんかは…ハッキリ言って直ぐに判る。
『開けろ!!』何度も、怒鳴っているからだ。
………お腹すいた…。
人って不思議なんだよね。なぁーんにもしてなくても……お腹は空くし、眠たくもなるから。
「そろそろ、動きださなきゃね…元々から一人だった筈でしょ?」
窓から、西日が差し込む外を見ながら溜息を付くと立ち上がる…。置いてある食料品も無くなりそうなんだ……って事は…
あれから何日間…こうしてたんだろうか?
久しぶりに、繁華街まで足を延ばしている…近所は知り合いに合うと煩わしいんだよ。
オシャレなどしたこと…ない私は、たまたま手に取った凄くシンプルだけど女の子らしく可愛さのあるワンピースを鏡の前で自身に合わせて見る。
すぐ横では、派手にオシャレした女の子が早口で心の篭らない言葉を並べてる………
(そっかぁ…みんな他人でしかないんだね。)
私は、内心そう納得して初めて…こんなオシャレな店で買い物をした。
私がもしオシャレして…
この街から出ていけば…
もしかして変われるのかな?私の心に、チラリとそんな考えがよぎる…。
今が、チャンスかも…
変わって全て捨てて…やりなおそう。
私は、辺りを見渡すとオシャレ度の高い美容室へと入って言った。