【完】君だけにみせるMyReal

急いで履いた靴下の中には、まだ海の砂が入っていて、ザラザラして居心地が悪かった。


そして、私の気持ちもザラザラしていた。


窓から流れていく海の景色を見つめた。


「これっきりなんて・・・ないじゃん」


彼はいともあっさりと私と別れた。


「じゃあね」と何事もなかったようにあっさりと手を振って、私を見送った。


「あんなことされて・・・期待してた私がバカじゃん」


私はバスの窓ガラスにコツンと自分の頭を預けた。

彼にしてもらった腕枕のような暖かさはなくて、冷たさだけが伝わってきた。


「今日だけって言ってたしな・・・でも連絡先くらい聞けば良かった」


彼がくれたパーカーのぬくもりが、余計に私の胸を切なくさせた。


< 8 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop