【完】君だけにみせるMyReal
急いで履いた靴下の中には、まだ海の砂が入っていて、ザラザラして居心地が悪かった。
そして、私の気持ちもザラザラしていた。
窓から流れていく海の景色を見つめた。
「これっきりなんて・・・ないじゃん」
彼はいともあっさりと私と別れた。
「じゃあね」と何事もなかったようにあっさりと手を振って、私を見送った。
「あんなことされて・・・期待してた私がバカじゃん」
私はバスの窓ガラスにコツンと自分の頭を預けた。
彼にしてもらった腕枕のような暖かさはなくて、冷たさだけが伝わってきた。
「今日だけって言ってたしな・・・でも連絡先くらい聞けば良かった」
彼がくれたパーカーのぬくもりが、余計に私の胸を切なくさせた。