【完】君だけにみせるMyReal
桜の蕾も少しずつ膨らんできた4月初め。
新しい学年がスタートする。
まだ肌寒いこの季節。
私はあの日以来彼のパーカーを手放せずにいた。
「がほがほのパーカーなんて千華子らしくない」って友達には言われたけど、いいの。
これだけが本当の私を見てくれた証拠みたいなものだから・・・自然と暖かい気持ちになれるから。
「大沢マネージャー。俺ら体育館で野球部アピールしてくるから、部活説明会の準備頼んだぞ」
「オッケー」
私は高校では相変わらずツンツンで、みんなに頼られるお姉さん的存在で・・・甘えられる場所なんてなかった。
私はひとりぼっちの教室で、ホチキスで資料をパチパチと留めながらため息をこぼした。