初恋

運命の恋

　桜井優奈は兄、俊哉が作ってくれたｵﾑﾗｲｽを一口口にした途端、もう少しで吐き出しそうになった。それを十五歳、中学三年生の意志の力を総動員して、なんとか飲み干すと、慌てて野菜ｽｰﾌﾟを飲んで口直しをしようとした。こっそりと。兄に気付かれないように。だが、肝心の野菜ｽｰﾌﾟもこれまた・・・・・・。
　一方俊哉の方は、優奈が作ったｻﾗﾀﾞ――ﾚﾀｽをちぎって、ﾄﾏﾄを切って、ｷｭｳﾘを斜めに切って、ﾏﾖﾈｰｽﾞと市販のﾄﾞﾚｯｼﾝｸﾞをかけただけのものだったが――を、まるで最高級のｼｪﾌが作ったｻﾗﾀﾞのように恭しく口に入れ、この上もなく美味と言わんばかりに味わっていた。
「うん。凄いおいしいよ、優奈」
「ほんと?」
　優奈は嬉しそうに微笑み、ｻﾗﾀﾞを食べようとして、俊哉がちらちらと自分を見ているのに気が付いた。
(あっ)