-呪歌-
「どうする?陽子?
聞かれたくなければはずしてもらうけど」
「ううん、気にしないで。
全然問題ないから」
「真由美〜、お待たせ」
『超常現象研究会』などと言う名前なので、薄暗い雑然とした部屋を予測していたが、中は案外小奇麗であった。
数台のパソコン、本棚に長机。
一見普通の部室となんら変わらない。
らしくないと言えば、真由美もそうだ。
心霊好きのイメージと言えば、黒髪とメガネ、根暗な人間像を思い浮かべがちだが、真由美は違った。
ブラウンの髪を緩く巻き、ファッション誌にありがちな服に身をまとう、ごく普通の女性である。
今日子は早速本題を切り出し、陽子は再び今までの経緯を話した。
「うーん、そうねぇ・・・」
真由美は陽子の話を分析する。
「まず、
『その霊は誰なのか』
これを調べるのが一番近道かもしれない。
大体この手の話は、生きた人間に害を与えるようになる理由が存在するのよ。
恨みがあったり、何か伝えたい事があったり。
理由をもっと具体的に知る必要があるわね」