-呪歌-

「どうする?陽子?
聞かれたくなければはずしてもらうけど」


「ううん、気にしないで。

全然問題ないから」


「真由美〜、お待たせ」




『超常現象研究会』などと言う名前なので、薄暗い雑然とした部屋を予測していたが、中は案外小奇麗であった。

数台のパソコン、本棚に長机。

一見普通の部室となんら変わらない。



らしくないと言えば、真由美もそうだ。


心霊好きのイメージと言えば、黒髪とメガネ、根暗な人間像を思い浮かべがちだが、真由美は違った。


ブラウンの髪を緩く巻き、ファッション誌にありがちな服に身をまとう、ごく普通の女性である。



今日子は早速本題を切り出し、陽子は再び今までの経緯を話した。

「うーん、そうねぇ・・・」



真由美は陽子の話を分析する。



「まず、

『その霊は誰なのか』

これを調べるのが一番近道かもしれない。



大体この手の話は、生きた人間に害を与えるようになる理由が存在するのよ。

恨みがあったり、何か伝えたい事があったり。

理由をもっと具体的に知る必要があるわね」


< 39 / 90 >

この作品をシェア

pagetop