-呪歌-

【神社】


丸く大きな月が、五人のシルエットを薄っすら映し出す。
段々細くなっていく道で歩みを進める。


「何かもう何か出そうな雰囲気だよね」


陽子の言葉に信二が茶化す。


「いいじゃん、何か出たら武に「いやん、こわ〜い!」って抱きつくチャンスだろ?」


陽子と武は付き合って間も無いカップルだった。
陽子から告白し、晴れて交際がスタートしたのだが、未だに進展がなく、不安だった陽子は他のメンバーによく相談していたのだった。


それを知って茶化した信二にムっとして


「馬鹿じゃないの?!」


と、陽子は声を荒げた。
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