-呪歌-
「お姉さんは今いくつなんだろう?」
武が尋ねる。
「うーん、確か二十代前半か半ばくらいって聞いたかな?」
信二が曖昧な返事を返した。
「父親が再婚したのは、結構大きくなってからでしょ?
だから新しい母親を、いきなり『自分のお母さん』っていう感じで受け入れるの難しかったみたい。
父親が死んで家に居辛かったのか、大学は地元を離れた所に進学して、一人暮らしをしていたらしいわ。
春美ちゃんとの仲は結構良かったみたいだけど・・・
そんなわけで、事件当時は母親と春美ちゃんの二人暮らしだったようね」
何だか複雑な事情のありそうな家庭だ。
信二と美咲の得た情報はここまでだった。
多少かぶっている情報もあったが、陽子達も知っている限りの事を、美咲と信二に伝える。
一通り話が終わる頃には、街灯に明りが灯り始めていた。