-呪歌-
「ちょっと晴海〜、ビビリ過ぎじゃない?」
「美咲、ここ何か変だよ。
何かが見えるとか、そういうのじゃないけど、空気が辛くて凄く重い・・・」
美咲に言い返す晴海の目は、真剣だった。
「じゃあさ、この神社も狭い事だし、適当に御堂を一周してさっさと帰ろうよ」
怖がる晴海を不憫に思った信二は、長居をさせては可哀想だと思い提案した。
美咲も信二の案に
「それもそうね」
と、あっさり賛同した。
『・・・息が苦しい。
なんでみんなは平気なの?』
晴海は今まで感じたこともない不安を感じている。
古く、表面がささくれ立った木造の御堂にたどり着いた。
御堂の裏の木々は漆黒に埋もれている。