ナンパ男との恋
第九章 視野
「今日は 連れて行ってくれて ありがとう。
すごく楽しかった。」
「こちらこそ 付き合わせてごめんね。
俺、実は 水族館初めてだったんだよね。あはは」
いとこくんなら
しょっちゅうデートで行ってそうなのになぁ・・・
「私も 10年ぶりくらいかも?
ありがとう。」
「いえいえ、今夜
久保先輩に返しとくから。
本当に 会わなくていいの?」
「うん、いいの。
迷惑ばっかりごめんね。」
「全然 それは構わないんだけどさ・・・」
最後まで いとこくんは
久保先輩に会った方がいい。
思ってる事を 全部言ってからでも
遅くはない。
と 言ってくれてたけれど
今の私には
会う勇気すらない。
会うと・・・
きっと
いくら傷ついてもいい、
このまま一緒にいたい。
と思ってしまうだろうから・・
今のままなら・・・
しばらくは
つらいけど、忘れられないけど
いつかは
前に進める気がするから。