ナンパ男との恋
その日の夜は
私が輝樹の家に来るようになって
初めて
5人での夕食となったけれど
何か家族間で会話をするわけでもなく、
目すら合わせないまま
食事が済むと
それぞれの部屋へと帰って行った。

「春菜、親父に会ったの初めて?」

「ううん、夕方に顔合わせたよ」

「ふぅん、何か言われた?」

「何も・・・何で・・?」

「いや、別に。」

「仲、良くないの・・・?」

「良くも悪くもないけど?
なんで?」

「ん、ごはん食べてる時
全然 会話がなかったから・・」

「そうか?あれが普通だけど」

あれが普通と言われたら
もう、何も言えない・・・

「輝樹の昔の写真ってないの?」

「写真?いきなり何で?」

「なんとなく・・・・
見てみたいなぁ・・と思って・・」

「今と変わってねぇし。
つーか、昔の写真なんてないしな」

「・・・そっか」

結局、私には
輝樹の事は
全然 分からないまま
誰かの力をかりないと
知ることすら困難っていうのが
現実・・・・

知りたい事は たくさんあるのに
何も分からない・・・



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