ナンパ男との恋
静まり返った住宅街を
ゆっくりと歩きながら

「・・・別れるか。」

「え・・・・?」

思わず 歩いていた足を止めた。

「俺な、たぶんってか絶対
春菜の理想通りの恋愛なんて
できねぇから。
春菜の事は好きだし、
大事にしてやりたいとも思う。
でも、俺自身を変えることはできないし、何より 俺、普通じゃねぇから。」

そう言うと
振り返り
私の顔を見ながら
少し微笑んだ。

「私は・・・
輝樹と一緒にいたい・・・
別れるなんて嫌だよ・・・」


「でもな、俺といても
普通の恋愛なんて
できねぇぞ?」

「・・・それでもいい。」

普通の恋愛ができなくても・・・
輝樹と別れるよりは
全然マシだ・・・・

「はぁ・・・。ったく、
せっかく 解放してやろうと思ったのに」

独り言のようにつぶやくと
そっと抱きしめながら

「もう、分かったから。
さーてと、さっさと帰って
寝るか・・・」

「うん・・・・・」

少しだけ明るくなってきた住宅街を
2人 手を繋ぎ
のんびりと 輝樹の家へと向かった。


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