ナンパ男との恋

「うわ・・・逃げたよ　あの男・・・
ほら、春菜帰るよ。」

「あ、うん」

美香の後を追うように
歩き始めた所で
ため息混じりに
話し始めた。

「なーんかさぁ・・・・
春菜が　いっつも不安になってる理由が　何となくだけど　分かるような気するかも。」

「え・・？」

「結局の所、春菜の彼氏って　謎だらけじゃん？
まだ周りの人たちが教えてくれると少しはいいけど、
みんな　本当に知らないのか
妙に口が固いのか
分からずじまいなわけだし。
こうなったら、どっか
隠し子とか、妻子隠してても
不思議じゃないじゃん」

「そ・・んな
恐ろしい事言わないでよー・・」

「そりゃ　例え話にすぎないけど、本当　よく考えてみたら、実際　どうなのかなんて分からないでしょ？」

「そうだけど・・・」

「あ・・・・春菜
そんな真剣に考え込まないでよー
例え話なんだからさ。
でもさ・・・
謎多き男は　たしかに魅力的ではあるけど、その分　信用もできないって事だからね。
まー、私が　どうこう言う事ではないけど、完全に信用できなくなったら　別れなよ。
いくら好きでも　そんな状態で一緒にいたら　嫌気がさしちゃう関係になっちゃうからね」

「・・・・・うん。」

ズキズキと胸に突き刺さるような言葉ばかりだけど、
美香の言う事は
本当に　私の事を理解して、心配して
言ってくれてる言葉ばかりだ。

だからこそ
素直に　私の心の中に
入り込んでくるんだろう・・・