僕の天使に贈る唄

病院から出ると
温かな風が俺を包む。






目の前ではひらひらと
桜の花びらが散っていた。




咲いたばかりなのに
散りゆく桜を見ていると

とてつもなく悲しくなる。








そんな事を思いながら
俺は家路へと急いだ。









「ただいま。」


誰もいない家に響く俺の声。






親父は仕事でいない。


ペットもいないし、
恋人もいない。






正直言うと
今だって美音が好きだ。


とてつもないくらい愛おしい。




愛した人を忘れるのに
時間はかかるものだ。





進みゆく時間の中で
何だか俺はひとり、


取り残された気分。



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