楔
「うわ。ちょ~変な顔」
「ちょっと。ショウタ全然笑ってないじゃん」
「俺、作り笑い苦手」
「ちょっと、俺にも見せてくれよ」
印刷されたプリを見るために、わらわらと暑苦しそうに見えるぐらい、密着していた。
分けるためにハサミを持っている私には、少しうっとうしい。手元が狂う。上手く切れない。
「ちょ~っと、離れてくれないかな~」
「まだ見てんだよ」
「ちょっと、誰これ?こんならくがきしたの」
「俺…じゃない」
さっきから、ハサミが進まない。
「これやったの、ショウタだろ!」
「違うって」
「ばっ。押すなよ」
「ケータイに画像届いてるんじゃない?大人しく確認してたら?」
この手があったかと、自分でも感激した。
狙い通り、3人とも大人しくなった。ケータイにメールが届いたんだろう。
「これ、どーするの?」
「これは、こーして…」
「ちゃんと、みんな送ってよ」
「わかってるって。ユイは早く切っちゃってよ」
誰のせいで遅くなったと思ってるんだ!
パチンと切り分けた。我ながら真っ直ぐ綺麗に切れたんじゃない?
なんて感動している好きに、後ろから手がにょきっと伸びて来て、切り終わったばっかりのプリを取っていく。
「ちょっと!」
「サンキューな、ユイ」
卑怯だと思った。
振り向きざまに、こんなに無邪気な笑顔とお礼なんて。一番効果的だったのは、名前を呼ばれたこと。
おかげで、何言おうとしたのか忘れた。
もしかして、タクって無邪気に見せかけて、確信犯?相当な策士なの?
なんて、1人で思っていた。
「ちょっと。ショウタ全然笑ってないじゃん」
「俺、作り笑い苦手」
「ちょっと、俺にも見せてくれよ」
印刷されたプリを見るために、わらわらと暑苦しそうに見えるぐらい、密着していた。
分けるためにハサミを持っている私には、少しうっとうしい。手元が狂う。上手く切れない。
「ちょ~っと、離れてくれないかな~」
「まだ見てんだよ」
「ちょっと、誰これ?こんならくがきしたの」
「俺…じゃない」
さっきから、ハサミが進まない。
「これやったの、ショウタだろ!」
「違うって」
「ばっ。押すなよ」
「ケータイに画像届いてるんじゃない?大人しく確認してたら?」
この手があったかと、自分でも感激した。
狙い通り、3人とも大人しくなった。ケータイにメールが届いたんだろう。
「これ、どーするの?」
「これは、こーして…」
「ちゃんと、みんな送ってよ」
「わかってるって。ユイは早く切っちゃってよ」
誰のせいで遅くなったと思ってるんだ!
パチンと切り分けた。我ながら真っ直ぐ綺麗に切れたんじゃない?
なんて感動している好きに、後ろから手がにょきっと伸びて来て、切り終わったばっかりのプリを取っていく。
「ちょっと!」
「サンキューな、ユイ」
卑怯だと思った。
振り向きざまに、こんなに無邪気な笑顔とお礼なんて。一番効果的だったのは、名前を呼ばれたこと。
おかげで、何言おうとしたのか忘れた。
もしかして、タクって無邪気に見せかけて、確信犯?相当な策士なの?
なんて、1人で思っていた。