もっと、生きてほしかった……
授業が終わった……。
結局、2人とも帰って来なかったなぁ
いつ帰ってくるのかな…?
ガラッ
何気なく扉の開いた方を見ると、目を真っ赤に腫らした夏歩と、気まずそうな昂がいた。
やっぱり、泣いてる……
「夏歩……」
「美波……
私、笑顔で別れ受け入れてきたよっ………!」
あからさまに分かる作り笑顔………
バカ……
分かりすぎるんだよ…っ
「夏歩……
よくガンバったねっ」
安堵からか、夏歩が私に抱きついて大泣きした。
クラスだとか人だとか関係なく、夏歩は……泣いた。
私はただ、夏歩の背中を撫でるしかできなかった……。
「うっ…!ふぇ…っ
うわぁぁあぁん!!!」
夏歩の辛さはよく分かる。
だからこそ、
何も声をかけることができなかった…。
“別れ”
それは簡単に見えて、実は辛い。
例えこの世にいたとしても、一緒にいなきゃ、傍にいなきゃ寂しい…。
そして何より、
自分が自分でなくなってしまう………
夏歩のココロはきっと、ぽっかり穴が空いてしまったように、変わる。
「夏歩、もう授業も終わったし帰ろう?」
周りを見ると、いつの間にか大量のギャラリー。
こんな目立つとこ、
夏歩もイヤだよね……。
「夏歩!
今日、私の家に泊まりにおいでよ!
お父さんたちには、私が連絡しとくから。」
「えっ?でも………」
口ごもる夏歩。
きっと、気を使ってるんだよね?
「大丈夫!
海斗のとこには、
明日行くからさっ!」
私の返事に安心したのか、
「うんっ!」
夏歩は満面の笑みで頷いた。