もっと、生きてほしかった……



教室に戻ると、夏歩が難しい顔をして席に座っていた。




「夏歩?
送ったの?」



「ん〜
送信ボタンが押せなくて……。

てか、ちょっと変な感じ。」




何ーだ……
送信ボタンが押せないって(笑)



「何が変な感じなの?」



「この相手の女の人、
坂城春菜[サカキハルナ]さんって言うっぽいけど私と同じ苗字じゃん?

世の中も分かんないよね。
同じ苗字の人がこんなに身近にいるってさ…。」




確かに。

特に、“坂城”なんて珍しいもんね。



やっぱり、直接逢わせてあげなきゃっ




「大丈夫。
早く送信しな。

夏歩には私がついてるんだから。」



「美波…。
うんっ!送るね。」




そう言って、夏歩は送信ボタンを押した。



画面には“送信完了”の文字………




よしっ

これで準備は終わった。



あとは放課後だね…。




返信はあっという間に来た。



「美波、○○病院の中の喫茶店で待ってるって。

ここ、海斗が入院してるとこだよね?

てか、病気なのかな…?」



心配するのもムリないよね……。


ましてや、姉妹だもん………



夏歩が知ったとき、きっと驚くよね…。



「大丈夫。
あとは、放課後になってからだよ。」



「そうだね!」




< 174 / 305 >

この作品をシェア

pagetop