もっと、生きてほしかった……



「昂の……お友だちさん…。」




“友だち”と聞いてか、春菜さんの顔が少し曇ったように見えた。



まぁ、気のせいよね。



「勝手に呼び出してゴメンなさい。

あの…こっちにいる、夏歩っていうんですけど、実はついこの間まで昂と付き合ってたんです。」




私たちは席につきながら、春菜さんに話した。



でも、春菜さんは顔色1つ変えず答えだした。




「昂からその話は聞いたわ。

夏歩さん……ゴメンなさいね…。

あなたから昂を奪ってしまったのは、ホントに悪いと思ってるの…。」




俯き加減で話している春菜さんを見て、夏歩の顔色が変わった。



「あなたに私のキモチなんて分かってほしくないです。

同情なんて、いりません…!」




夏歩………

あんたは分かってないんだよね…。

この人が誰なのか………



「えっ……」



「私が欲しいのは、同情じゃない。

あなたのキモチです。」



「えっ?」




夏歩の言葉に戸惑いを見せる春菜さん。



この人も、気づいていない。



夏歩のことを…………




「あなたはホントに昂が好きなんですか?

利用してるんじゃないんですか?」



「そんなことない…!
私は、本気で昂が好きよ!

でも、昂は………

昂の中には………

私じゃない、
あなたがいるのよ…。」




春菜さん………


あなたも辛かったんだ………



いくら病気だからって、
同情で傍にいる昂がイヤだったんだ…。




< 177 / 305 >

この作品をシェア

pagetop