もっと、生きてほしかった……
「昂の……お友だちさん…。」
“友だち”と聞いてか、春菜さんの顔が少し曇ったように見えた。
まぁ、気のせいよね。
「勝手に呼び出してゴメンなさい。
あの…こっちにいる、夏歩っていうんですけど、実はついこの間まで昂と付き合ってたんです。」
私たちは席につきながら、春菜さんに話した。
でも、春菜さんは顔色1つ変えず答えだした。
「昂からその話は聞いたわ。
夏歩さん……ゴメンなさいね…。
あなたから昂を奪ってしまったのは、ホントに悪いと思ってるの…。」
俯き加減で話している春菜さんを見て、夏歩の顔色が変わった。
「あなたに私のキモチなんて分かってほしくないです。
同情なんて、いりません…!」
夏歩………
あんたは分かってないんだよね…。
この人が誰なのか………
「えっ……」
「私が欲しいのは、同情じゃない。
あなたのキモチです。」
「えっ?」
夏歩の言葉に戸惑いを見せる春菜さん。
この人も、気づいていない。
夏歩のことを…………
「あなたはホントに昂が好きなんですか?
利用してるんじゃないんですか?」
「そんなことない…!
私は、本気で昂が好きよ!
でも、昂は………
昂の中には………
私じゃない、
あなたがいるのよ…。」
春菜さん………
あなたも辛かったんだ………
いくら病気だからって、
同情で傍にいる昂がイヤだったんだ…。