もっと、生きてほしかった……



「待って……
私、お母さんに聞いたことないよ?

姉妹がいるなんて…。」




春菜さんは今も信じられないと言うように、夏歩を重視している。



「当たり前よ。
だって、春菜さんを捨てたんだから。

罪悪感もあって知られたくなかったのよ。」



「でも、どうして…。」



「最初に気になったのは、夏歩も春菜さんも昂が幼なじみと言ったこと。

普通ならおかしいじゃない?

同じ苗字の2人がともに昂の幼なじみなんて。

まるで、2人は姉妹ですって言ってるようなものじゃない?」




確かに……

と言うように、2人は首を縦に振った。



これで、お互い分かったかな?



「じゃあ……ホントに…っ!」



「うん。
正真正銘、夏歩のお姉さんよ。春菜さんは。」




私が確信と言うように答えると、春菜さんの頬に一筋の涙が伝った…。



「やっと……
やっと逢えた……っ

私の、妹に……!」




春菜さん………


あなたは捨てられてから、ずっと心残りだったんですよね?



ずっと、忘れられなかった。



妹を1人にしてきたこと………

一言も喋れないまま、別れてしまったこと………



全部全部、
心残りだったんですよね?



「春菜さんが……」



ボーッとしていた夏歩の頬にも、涙が伝っていた。



「お姉ちゃん…っ」




そのまますがり付くように、席をたち春菜さんの胸に飛び込んでいった。



「夏歩……
ゴメンね…!

あなたを1人にしてしまったこと、ずっと気にかけてたのに……。」



「ううん…!
良かった。生きてる間に逢えて、良かったよぉ……」




今まで弱音1つ溢さなかった夏歩が、今、お姉さんの前で泣いている。



私には見せない一面。



それも、姉妹という絆の強さなんだよね…。




< 179 / 305 >

この作品をシェア

pagetop