もっと、生きてほしかった……



「次、美波と海斗のデュエットね!」


そう言って勝手に曲を入れる夏歩……



「えぇ?!
ムリだよ〜

私、音痴だもん…。」



「なーに言ってんの!
今日は関係無いでしょ!!

てか、せっかくなんだし楽しもうよ!」




―――海斗との思い出、つくるんでしょ?



私には、夏歩がそう言ったように感じた。




私が考えてること、分かってるんだ―――。



「分かった。
ガンバって歌う!」



「そうそう!
ノらなきゃダメだよ!」




海斗とデュエット歌ってる時間―――


たったの4、5分が何時間にも感じたのは私だけかな……?



静かな部屋に、私たちの声だけが響く。




曲の歌詞でか、

それとも私たちに対してか分からないけどみんなが涙を流していた。



上手くもない音痴な私と海斗の曲を聞いて泣いてくれた……――――



私たちはきっと幸せ者なんだね―――。



みんなが私たちを応援してくれて……

背中を後押ししてくれて……



もしかしたら贅沢すぎるくらいなのかもね…。



これ以上、望んではいけないのかもしれない……。



きっと――――……




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