もっと、生きてほしかった……
ピンポーン♪♪
軽快な音とともに、
エレベーターの扉が開く。
すでに私の心臓はうるさく、バクバクいっていた。
まるで私も病気になっちゃったみたい……。
そんな緊張しきった自分の体を無理矢理動かし、ようやく海斗の部屋に着いた。
一度、唾を呑み鍵穴に鍵を差し込む。
そして―――
ガチャッ
――!
開い…た……
静かに扉を開ける私。
何か、どっからどう見てもただの泥棒にしか見えないよね…(笑)
忍び足で部屋に入るけど、全く物音がしない。
あれ…?
寝ちゃってるのかな。
いくつかの部屋を越えて、一番奥の部屋に入ろうとしてドアノブを握った時だった。
いきなり“何か”が私の体を強く抱きしめた。
「ひゃっ…!」
あまりにも急だったため、何の抵抗もできなかった……。
でも、慌ててる私にも1つだけ分かることがあった。
それは、
私を抱きしめてる“何か”が“人”だということ―――。
耳にかかるわずかな吐息―――
間違いない………
「遅かったな…。
俺、待ちくたびれた。」
「海斗…!
急に抱きしめないでよ!
ビックリしちゃったじゃない―――。」
それは間違いなく海斗だった……――――
「わりぃ……
驚かすつもりは……あったんだけど(笑)」
何よ!
あったんじゃない!
海斗のせいで、
心臓発作起こしそうよ…。
はぁ……
ヤバいよ………
「もう〜
心臓発作起こしそうよ…。
驚かさないでよね――。」