もっと、生きてほしかった……
気づくと私は手術室の前のイスに座っていた。
隣には海斗のお父さんお母さんがいた――。
「おじさん……
おばさん……
私、どうしちゃってたの?」
「美波ちゃん…。
ショックで覚えてないのね……。
海斗は救急車でこの病院に運ばれてきたの…。
今、担当医の先生が少しでも海斗が生きれるよう手術してくださってるのよ――?」
え―――。
海斗が、手術……?
もう持たないんじゃないの……?
これ以上、苦しめちゃったらダメなんじゃないの――?
「おばさん………
海斗、さっきこう言ったの――。
美波、ゴメンなって……。
もしかしたら、これで最期なんだって気づいてたのかもしれない……。
それなのに、手術してまで………
海斗を苦しめてまで、私は生きてほしいと思わない。
ついさっきまで、希望を捨てないで――って思ってた……。
でも、気づいたの………
最後まで私たちのわがままで、海斗を苦しめちゃいけない―――
最期くらい、安らかに逝ってほしいって―――」
「……美…波…ちゃん」
そう。
所詮私のわがままなんだ――。
今、私がおばさんに言ったことは嘘じゃない。
でも、ほとんど自分に向けて言ったも同然なの…。
おばさんにでかい口叩きながら、最期まで生きてほしいって願ってるのは―――私。
ゴメンね――海斗。
私、いつでも覚悟してるつもりだったの……。
でも、違った。