もっと、生きてほしかった……
「もう持たない――。
でも、延命処置という手もある……。
といっても延命処置は植物状態になる。
キミがそれでもいいって言うならば………」
先生の言葉を私は遮った――。
「延命処置は、必要ないよ――。
海斗を苦しめるのはもうイヤだから……。
でも、少しだけ私たちに時間をほしいの……―――
1時間――ううん。
30分でいいから――(泣)」
「……分かった。
おい!海斗くんを病室に!」
「はい!」
テキパキとした看護婦さんたちに連れられ、海斗は空いている病室に運ばれた――。
急いでモニターを取りつけられ、付けられていた医療器具は全て取られた。
酸素マスクまでも―――。
「おそらく、この状態だと1時間も持たないだろう……。
意識も……戻らないと思う…。
何かあったらすぐにナースコールを押すんだよ?」
「はい……。」
そのまま先生と看護婦さんたちは病室を出ていった…。
残ったのは私と海斗のお父さんお母さんだけだった――。
「私たちも外で待ってるわ。」
「え…?」
「美波ちゃん…?
この子は私たちの“宝物”――。
でも、そんな私たちの海斗が大切にしたいと思う彼女も私たちにとっては“宝物”なの……。
心配しないで?
私たちはいつだって覚悟はできてたわ―――。
あとは、美波ちゃんが見届けてあげて――?」
おじさん……おばさん……
私のために…っ
「ありがとう…っございます!
私が……責任を持って、海斗の最期を見届けます…!」
そして、私は深く頭を下げた―――。
おじさんおばさんは涙目で私に微笑みかけ、病室を出ていった……――――
ようやく、2人きりの空間になった―――。