もっと、生きてほしかった……



気づくと弱々しい力で、海斗が私の腕を掴んでいた――。



咄嗟だったために、私も何が何だか分からない…。



「海斗?!」



私のムリな大声で、少しずつ海斗の目が開いた。





「……みな、み…」




………!!!


私の想いが、伝わったの――?


それとも、夢――?



先生に、意識も戻らないと言われたあの海斗が――今、私の前で……微笑んでる!




「海斗!
私のこと、分かる…?」




問いかけに、海斗はゆっくり頷いた――。



嘘―――!!
ホントに、奇跡がおきたよ……っ



最期まで、奇跡なんて起こらないって思ってたのに…!



今目の前で、海斗が笑ってるよ―――。



「うぅ…っ
起きたじゃんか……バカ海斗―!」



「わり…ぃ。
やっ……と、おま……えの、顔―――見れた…。

最期…に、逢わせて………ほしい……って、頼…んだんだ―――。」




頼んだって………

神様にでも逢ったの…?



「そっか。
海斗、すぐに逝っちゃうの…?」



「あ……ぁ。
お…前に……伝えた…いこと、言って…な。

みな…み?
まず……幸せ、にな…れよ……?

お…れが、い……ねぇ…からって……死ぬ…とか、おも……うな?」




え――。

海斗、私が思ってること分かるの……?




< 252 / 305 >

この作品をシェア

pagetop