もっと、生きてほしかった……




必死に私の背中を押してくれるおばさん――。



ホントは辛いはずなのに……。


一番辛いのはおばさんたちのはずなのに……――――



私はどれだけ酷い人間なんだろう………



ホントは私がおばさんたちを励まさなきゃいけない立場なのに―――




ガンバらなきゃ………


おばさんたちが応援してくれてるんだもん…!



あのキモチを踏みにじるのは人間として最低だよね――。



ねぇ、海斗――?

私なら、できるかな……。

あなたのいない人生を1人で生きていけるかな……。



でも、やっぱり思うのは………



あなたが帰ってきてくれることなんだ――。



「海斗………
お願いだから、帰ってきて………」



できるものなら、帰ってきてほしい―――


叶うものなら……もっと、生きてほしかった……



「美波ちゃん………」



「おばさん…。
私、ガンバってみます。

遠回りしちゃうかもしれないけど………

間違った道に行っちゃうかもしれないけど………


ガンバって生きてみます…!

でも、できるものなら、帰ってきてほしい――。

そして――もっと、生きてほしかった……」



「えぇ……。
でも、もう時を戻すことはできない。

なら、これからをもっと良い人生にすればいいの――。

海斗に負けないくらい強く生きたら、いいのよ……――――」




―――そうだ。


いつまでも、ウジウジしてちゃダメ……だよね。



だったら、ガンバればいい……。




いつの間にか、私は自分に言い聞かせるように言っていた――。


でも、私はまだ気づかない。



海斗のいない人生がどれほど辛いものなのか――。


海斗の存在がどれほど大きかったか――。





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