もっと、生きてほしかった……



私は自分が使っていた部屋に向かわず、あえて海斗の部屋に入った――。



あの日、最後に海斗に抱かれた場所……――――



ジーっとベッドを見てると、あの時の光景が見えてきそうだった……。



そして、相変わらず真っ暗でも月の光が入ってきてて少し明るかった。



「あの日と一緒………」




何もかも、変わらない―――。



私は、ベッドに潜った。


すると、愛しい海斗の匂いが匂ってきた――。



まるで、まだ存在しているかのように………



私のすぐ隣にいるような感じ――。



温かい、優しいベビーパウダーのような匂い………



変わんないね………



安心して、私はしばらくして深い闇に落ちていった………。



「おやすみ。海斗………」




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