もっと、生きてほしかった……




ガチャッ



家に着くと、いつもとすっかり違って静かだった。



前は海斗がいたせいもあってうるさかったし、昨日はおじさんおばさんが家にいてくれた。



今日からは、1人。



誰もいないこの家に、1人で暮らしていかなきゃいけない。



まだまだ不安だらけだけど、みんなが私を支えてくれてる。



きっと、何とかなるはずだよね…?




そのまま電気も付けず、私は海斗の部屋に直行した。



部屋に入っても、電気は付けずに窓辺に腰をかけた。



少しずつ、暗くなっていく空。


辺りはちょっとずつ闇に包まれていった。



その時、海斗のケータイが床に落ちた。



「あっ……」



まだ、何が入ってるのかすごく怖いけど見ないと海斗の想いが届かない――。



大丈夫。
きっと、大丈夫だよね―――。



ピッ



動画一覧を開く。


すると、たった一件だけ、保存されていた。




“美波へ”



動画の題名にはそう記されていた。




< 283 / 305 >

この作品をシェア

pagetop