もっと、生きてほしかった……



私のケガに気づき空の顔はあっという間に青ざめていった。




「あっ……
ゴメ…ン……」



今にも消え入りそうな声だった……。




でもやはり空の目は怒りに満ちていて、恐ろしさはみじんも消えていなかった。



「海……斗…
どうしよ……

血……止まんないよ。」



私も私で頭が上手く回らない……。



最終的には口が勝手に海斗の名前を出していた…。




「美波、落ち着け。
これくらい大丈夫だから。

今日はこのまま学校休んで病院行こ?」



海斗の冷静な声………




あなたの優しい言葉で、



声で



私は今までどれだけ救われてきたんだろうね?




こんなに泣き虫で弱い私を、あなたはどれだけ助けてくれたのかな…?



「また海斗かよ…。
所詮美波は俺のこと好きでもなんでもねぇんだからな。

美波なんてこの世にいなきゃよかったんだよ!!!」




悲痛な叫びとともに、

空は我を忘れたかのように本来の自分を見失っていた……。



だけど海斗はそんな空の叫びを聞き、いきなり顔を空に向けた。




その顔は、完全にぶちギレたような顔………



今にも人を殺しそうなオーラを漂わせていた……。




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