月と太陽の事件簿14/隙間女の視線
喫茶店で待ってると、半熟プリンの箱を手にした達郎が、上機嫌の顔でやってきた。

注文を取りに来た店員に「彼女と同じ物を」と、いく分語尾を高くして答える。

考えこんでの買い物だから、さぞかし気分がいいんだろう。

ちなみにあたしが注文したのはアイスコーヒー。

あたしは基本ブラック派だから、ミルクとガムシロは使わない。

なので達郎のもとにアイスコーヒーが来ると、あたしは使わずにとっておいたミルクとガムシロを渡した。

達郎は当たり前のようにそれを受けとると、二人分のミルクとガムシロを躊躇なく注ぎ込んだ。

カラカラと氷の音をたててアイスコーヒーをかき混ぜる。

一口飲んだ後、達郎は幸せといった感じのタメ息をついた。

「で、話ってなんだ?」

あたしは胸やけをこらえながら手帳を開いた。

「目黒の強盗事件のニュースは見た?」

達郎はうなずいた。

現在時刻は午後2時。

時間的に店内に人影はまばら。

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