月と太陽の事件簿14/隙間女の視線
その証拠品というのが、この絵というわけだ。

「若松範子は泉田が強盗犯だと知っていて、捜査協力しようとしたのか」

越沼さんは腕組みをしてうなずいた。

「ちょ、ちょっと待って!」

あたしは口を挟まずにはいられなかった。

達郎の言いたいことはわかる。

あたしから聞いた範子の話から、達郎は推理を働かせた。

新聞や携帯のWebサイトを見たのは、どんな絵が盗まれたのかを知りたかったからだろう。

盗まれた絵が女の絵だったことを知った達郎は、さらに推理を働かせ、今、この場に行き着いた。

しかし納得できないことはまだある。

「範子はなぜ回りくどい話をしたの?」

捜査協力する気があったのなら、普通に絵の存在を教えてくれれば良かったのに。

「それをわざわざあんな怪談話に例えなくたっていいじゃない」

「そりゃそうだ。実際、日野には全く理解できなかった」

星野警部補の言葉には引っ掛かるものがあったが、確かにその通り。

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