月と太陽の事件簿14/隙間女の視線
「その点に関しては確信は持てないんだが」
達郎は少し唇を尖らせてから、泉田の罪歴を訊いてきた。
それが何を、と言いかけた越沼さんを、星野警部補が制する。
あたしは手帳を取り出すと、泉田の罪歴を読み上げた。
「その内容だと、今回の罪と併せて、累積で懲役9年てとこか」
達郎のつぶやきに、星野警部補は同意のうなずきを見せた。
あたしはようやく合点がいった。
「範子は泉田の復讐をおそれたのね?」
自分の密告によって逮捕されたことを知れば、泉田は自分を恨むだろう。
そうなれば数年後に泉田が塀の外から出てきた時、自分は無事でいられるだろうか。
範子はそう考えたのだ。
「だから範子は怪談話に例えて、遠回しに捜査協力しようとしたのね」
あたしの言葉に達郎はうなずいた。
「ただし、この説は強引な背負い投げもいいとこだ。範子への事情聴取で明らかにするべき問題だろうな」
確かに。
ここから先はあたしたちの仕事だ。
達郎は少し唇を尖らせてから、泉田の罪歴を訊いてきた。
それが何を、と言いかけた越沼さんを、星野警部補が制する。
あたしは手帳を取り出すと、泉田の罪歴を読み上げた。
「その内容だと、今回の罪と併せて、累積で懲役9年てとこか」
達郎のつぶやきに、星野警部補は同意のうなずきを見せた。
あたしはようやく合点がいった。
「範子は泉田の復讐をおそれたのね?」
自分の密告によって逮捕されたことを知れば、泉田は自分を恨むだろう。
そうなれば数年後に泉田が塀の外から出てきた時、自分は無事でいられるだろうか。
範子はそう考えたのだ。
「だから範子は怪談話に例えて、遠回しに捜査協力しようとしたのね」
あたしの言葉に達郎はうなずいた。
「ただし、この説は強引な背負い投げもいいとこだ。範子への事情聴取で明らかにするべき問題だろうな」
確かに。
ここから先はあたしたちの仕事だ。