月と太陽の事件簿14/隙間女の視線
枯れ尾花は何処に
若松範子の回復を待って事情聴取は行われた。
しかしそれは、あたしたち捜査当局に何も情報をもたらさなかった。
なぜなら範子は、ここ数日の記憶を失っていたからである。
出所した泉田が、自分のもとに身を寄せていた事すら覚えてなかった。
アパートの階段から転げ落ちた際の衝撃によるものか、泉田に襲われたショックによるものかは、原因は不明だったが、範子の記憶が失われていたことは確かなようだった。
範子に怪談話の事を訊くと
「あたし、そんな話をしたんですか?」
と目を丸くした。
医師も捜査当局も、範子が記憶喪失の演技をしてるようには見えないと判断した。
一方、泉田浩は観念して罪を認めた。
あの日、画廊を襲った泉田は、範子のアパートに絵を隠し、盗品の買い手を探しに外出した。
アパートに戻った泉田は範子から警察が来たことを告げられた。
「俺がここにいる事を言わなかっただろうな?」
そう凄んだ泉田に、範子は首を振った。
しかしそれは、あたしたち捜査当局に何も情報をもたらさなかった。
なぜなら範子は、ここ数日の記憶を失っていたからである。
出所した泉田が、自分のもとに身を寄せていた事すら覚えてなかった。
アパートの階段から転げ落ちた際の衝撃によるものか、泉田に襲われたショックによるものかは、原因は不明だったが、範子の記憶が失われていたことは確かなようだった。
範子に怪談話の事を訊くと
「あたし、そんな話をしたんですか?」
と目を丸くした。
医師も捜査当局も、範子が記憶喪失の演技をしてるようには見えないと判断した。
一方、泉田浩は観念して罪を認めた。
あの日、画廊を襲った泉田は、範子のアパートに絵を隠し、盗品の買い手を探しに外出した。
アパートに戻った泉田は範子から警察が来たことを告げられた。
「俺がここにいる事を言わなかっただろうな?」
そう凄んだ泉田に、範子は首を振った。