月と太陽の事件簿14/隙間女の視線
先月、刑期を終えて出所したばかりだという。

「再犯者は毎年6割いるっていうが…」

達郎は甘味たっぷりのコーヒーをすすった。

「前科者じゃ、居所の見当もついてるだろ」

「愛人がいるわ」

あたしは再び手帳に目を落とした。

「愛人の名前は若松範子(35)。中目黒のバーでホステスをやってるわ。住まいも同じ中目黒のアパートよ」

「そこはもう訪ねたんだな?」

「岸警部と2人でね」

ここからが達郎に聞いてもらいたい話だった。

それはとても奇怪な告白であった。

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