月と太陽の事件簿14/隙間女の視線
泣きぼくろの女
あたしと岸警部が若松範子の住むアパートを訪ねたのは午前11時。
築30年はたとうかというその古アパートには、インターホンすらついてなかった。
ノックするとすぐに「はい」という返事がして、ドアが開いた。
右目の下の泣きボクロ。
若松範子の顔を見た時、まずそれが目に入った。
色白で、長い髪を後ろでまとめている。
紺のシャツに茶色のスカートという地味な服装で、水商売の女性には見えなかった。
「あの、何か?」
訝しがる範子に、あたしと岸警部は警察手帳を見せた。
「泉田浩という男を知ってますね?」
岸警部の問いかけに、範子は「はい」とあっさりうなずいた。
「彼についてお話を伺いたいのですが」
「はい、わかりました」
あたしと岸警部は思わず顔を見合わせた。
この手の聞き込みをした時、こうした返事が返ってくることはまず無い。
築30年はたとうかというその古アパートには、インターホンすらついてなかった。
ノックするとすぐに「はい」という返事がして、ドアが開いた。
右目の下の泣きボクロ。
若松範子の顔を見た時、まずそれが目に入った。
色白で、長い髪を後ろでまとめている。
紺のシャツに茶色のスカートという地味な服装で、水商売の女性には見えなかった。
「あの、何か?」
訝しがる範子に、あたしと岸警部は警察手帳を見せた。
「泉田浩という男を知ってますね?」
岸警部の問いかけに、範子は「はい」とあっさりうなずいた。
「彼についてお話を伺いたいのですが」
「はい、わかりました」
あたしと岸警部は思わず顔を見合わせた。
この手の聞き込みをした時、こうした返事が返ってくることはまず無い。