月と太陽の事件簿14/隙間女の視線
相手をかばう、もしくは関わりあいになるのを避ける。

上のような理由で白をきられるのがほとんどだ。

「立ち話もなんですからどうぞ中へ」

そう範子に促され、あたしと岸警部は部屋へ上がった。

いま思えば、部屋の中へ吸い込まれるような感覚だった。

部屋は1DKで押し入れ付き。エアコンは無し。

テーブルや棚の他にタンスや化粧台、夜の仕事をしているせいか衣装ケースがあちこちに置いてあり、そのせいで部屋は狭く見える。

聞き込みでなければ真夏のこの時期に長居は遠慮したい部屋だった。

「どうぞこちらへ」

範子は奥の座敷へあたしたちを案内した。

そこにあった丸テーブルの周りに座布団を置くと、近くにあった扇風機をあたしたちに向けた。

あたしと岸警部は、ハンカチで汗を拭きながら、座布団に腰掛けた。

扇風機の風があたり、多少は暑さが和らいだ。

ただ【冷蔵庫】と揶揄されるほどの巨漢である岸警部には、あまり効果がなかったようだ。

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