この命、あなたにあげます


私は普通じゃない…


何度自分にそう言ってきたか。

だけどこれもまた、私にとっては普通になっていた。




入学式を無事に終えた私は、自分の教室へ向かった。


今日からここが、私の生きる教室…

私は高校を卒業するまでに、死んでしまうかもしれない。


だから、私にとって、高校は最後の"学校"なんだ。




中学に入学し、中学を卒業する。
高校に入学し、高校を卒業する。


こんなこと、みんなには当たり前なことなのかもしれない…

だけど私には、確実に「死」に近づく、ただの道でしかないんだ。




ガラッ

教室に入ると、みんなもうグループを作っていて、グループの子同士でしゃべっていた。


私は座席表を見て、自分の席につく。



「ねぇ、あなた藤谷佐奈さんよね?」


明らかモテそうな女の子が、私に近づいてきた。



「うん、そうだけど…。」

私が返事をした途端、その女の子はパァッと笑顔になった。



やっぱりこういう子って、笑顔が似合うな…。

一人感心していると、急にその子に手を握られた。



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