この命、あなたにあげます
「私、椎名光(しいなひかり)!!あなたのことは、噂で知ってたの。」
「噂?」
「そう!すごく可愛いって、有名だったんだよ!」
私は一人、何が何だか分からないというような顔をしていた。
「そうなんだ。」
「ねぇ!これからあなたのこと、佐奈って呼んでもいい?」
「うん、いいよ。」
光の第一印象は、とにかく明るくて、笑顔がとても可愛い子だった。
だけど、これから光にたくさん助けられるなんて、この時は思いもしていなかった。
それからしばらくして、教室に先生が入ってきた。
「はい!今日からみんな、高校生だね。中学ではしたことのないこととか、たくさんの初めてがあると思うけど、頑張ってください。」
担任はかなりおばさんだったけど、とても優しそうな先生だった。
私は、さっきから気にしていることがある。
それは…、隣の空席…。
休みなのかな?
そんなことを思っていると…
「今日休みの谷本春喜君は、今日は病院に行っているということなので、明日から来ます。」
そういって、先生は出ていった。
病院…
谷本君、病気なのかな?
みんなならそんなに気にしない、病院という言葉…
だけど私には、気になってしかたがなかった。