この命、あなたにあげます
休み時間、さっそく光が遊びにきた。
「ねぇ光…、谷本君ってさ、病気なのかな?」
「えぇ〜?そんなことないと思うよ?だって、あの人評判悪いし…。」
「何で?」
「かなりヤバいっぽいよ?喧嘩とかしょっちゅうみたいだし…、とにかく悪い噂しかないみたい。」
「ふーん。」
「あっそうそう!今度ね、コンパしよっかなぁと思ってるんだけど、佐奈も行かない?」
突然光に誘われて、またあの苦い思い出が蘇ってくる。
「ごめん。私そういうの苦手なんだ。」
「えー!何でー!行こうよ。」
「本当ごめん。私男の人苦手なの。」
「何かあったの?」
「うん、ちょっと昔にね…。」
ごめんね光…
今はまだ、あなたには話せないよ…
必ず話すから、その時まで待っててね。
病気のことを話すと、光は離れていっちゃうかな?
不安でしかたのない私…
その裏にはいつも、あの辛い過去があった。