インターン・シップⅡ

ガサッ…――。

不意に落ち葉を踏む音がきこえ、こっちに近付いてくる気配がした。


「お待たせしました」


落着き払った声でそう声をかけると、もう一方のベンチに腰掛けた本田医師。


「あ、お忙しいのにすいません。これ、よかったらどうぞ…。今日は少し冷えますから」


俺はそう言ってホットコーヒーを差し出した。


それを「どうも…」と言って受け取ると、すぐさまタブを開けて飲む彼はそんなに悪い人ではなさそうだ。


まぁサツキちゃんと住んでんだし、悪い人なわけはないか。

たまに会話の端々に冷たさやきつい口調を感じないでもないけど…。


ハルにもコーヒーを渡すと、仏頂面のまま受け取ってズズズッ…と飲んだ。


それぞれコーヒーを飲んで一息つくと、誰が話出すのかを窺うようにみんな黙っていた。


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