engage−あの日の約束



そんなわたしの願いも、神様には届かなかった。



屋上に向かう階段を上がろうとすると、声を掛けられた。



「あれ?乙葉?」



いつもだったら安心する声。だけど今は、落ち着かない。



「……ッせ、んぱい。おはよう…」




やっとの思いで振り絞ってだした声。泣いているのも見られたくなくて下を向きながら言った。





「屋上に行くの?」




どうしよう……
なんて言えば……




「今から屋上行くんです。
わたしが相談したいことがあって……」



言葉が出ないわたしの変わりに言ったのは明美だった。





ありがとう、
明美。






< 104 / 137 >

この作品をシェア

pagetop