engage−あの日の約束
そんなわたしの願いも、神様には届かなかった。
屋上に向かう階段を上がろうとすると、声を掛けられた。
「あれ?乙葉?」
いつもだったら安心する声。だけど今は、落ち着かない。
「……ッせ、んぱい。おはよう…」
やっとの思いで振り絞ってだした声。泣いているのも見られたくなくて下を向きながら言った。
「屋上に行くの?」
どうしよう……
なんて言えば……
「今から屋上行くんです。
わたしが相談したいことがあって……」
言葉が出ないわたしの変わりに言ったのは明美だった。
ありがとう、
明美。