engage−あの日の約束
意地悪………
笑っている先輩をみてそう思った。
「乙葉……かわいい……」
そう言って、先輩は顔を近づけ、おでこにキスをくれた。
もう、ゆでダコ状態だ。
やっぱり……先輩には敵わないな………
「俺には、君しかいないよ」
その言葉を聞いて、心臓が跳ねた。
どこか……既視感を覚えた。
『私にはそなたしかおらぬ』
いつか……言われたような気がする………
ソワソワするのは……どうして…?
わたしの気持ちを余所に、先輩は、顔を近づけて唇を重ねた。
何か……引っ掛かる………
先輩………
あなたはどうしていつも、わたしの心を揺さぶるの?
先輩は、何事もなかったようにわたしの手を引いてみんなのうる場所に戻った。
わたしだけ……?
その日は、心にしこりを残したままだった。