engage−あの日の約束



家に着くといつもはない靴があった。




お兄ちゃん!




わたしは台所に買い物袋を置き、バタバタと階段を駆け上がって、お兄ちゃんの部屋へ行った。




バタンッ




「ちゃんとノックしろよ」

「いいじゃん。兄妹なんだし」




久しぶりに会ったお兄ちゃんはなにも変わっていなかった。





「なんで最近帰って来ないの?」


「家が嫌だから」


「・・・ほんとに?」


「・・・・・・」





ほんとにそうだとしたらちょっと悲しい。




「ははっ。冗談だよ」



お兄ちゃんはわたしの頭を撫でた。



ぶ〜。またばかにして!




「そんなに怒るなよ。

今日の夜、何作んの?」


「カレーだよ」


「久しぶりにお前の食べるか」


「ほんと!?じゃあすぐ作るから待っててね」






やったぁ。
今日は一人じゃない。






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