engage−あの日の約束




頬が…熱い……



先輩の手が熱いんじゃない。



わたしの…頬が…




先輩から視線を外し、わたしは、一つため息を着いた。



言える、"海斗"って……


好きな人のお願いだもの…出来ることならしてあげたい。


やっぱり、先輩を見て言うのは……ムリだから……




「っ……か……ぃ、と……」




視線を外したまま……呟いた。






「乙葉……もう、一回…お願い」






まだ…視線は、合わせられない。




「……かぃ…っと…」





「もう一回…」





「っか、いと……」





少しずつ、少しずつ……呼べるようになって……それに合わせて、視線も徐々に先輩へと、移っていった。











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