engage−あの日の約束



「乙葉、大丈夫?」



この声・・・




わたしは目を開けた。




「い・・・ずみ・・・せん・・・ぱ・・・い」




先輩だった。


でも、どおして?



「先輩、どおしてここに?」


「乙葉が男の人に連れて行かれる見たから。でも途中で見失って・・・遅くなってごめんね」




わたしは首を横に振った。


先輩は、わたしの手を縛っていた物を捕ってくれて、羽織っていたシャツを着せてくれた。




安心して涙が溢れた。



「乙葉、立てる?」


「はい」




さっきは恐くて立てなかったけど、今は立てるようになっていた。





先輩は、わたしの服と荷物を持ち、わたしの手を握って歩きだした。



さっきの人とは違って優しかった。それにゆっくり歩いてくれる。







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