engage−あの日の約束



「じゃあ、出水は?」


「先輩は、出水先輩」



アッキー先輩……。

さっきまでぶつぶつゆってたのに……。





「俺はアッキー先輩なのに出水先輩ってのはな〜。なっ出水」





まーたいきなり変なことを。




「俺はべつにどうでもいい」



先輩はそう言ってるけど、たしかに堅苦しいよね。




わたしが言うのもあれだけど……。




「先輩は……」



下の名前は確か、《海斗》だよね。





そうだ!




「海先輩は?」


「おっ!いいね♪いいだろ?」





みんな揃って先輩の方を見た。




「いいけど」



じゃあこれから海先輩だね♪



「俺も《海》って呼ぼー」

「勝手にすれば?」







先輩は立ち上がってすたすたとどこかに向かっていた。




「先輩!」



わたしは追い掛けた。




「いいね〜。青春だね〜♪」



残った2人がそんなことを言っていたとは、わたしは気付かない。








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